アパレル デザイナーとして量産型の仕組みに疑問を持ち始めていた頃、長期滞在で訪れたパリの街でウェディングドレスの小さなメゾンがいくつもある事に衝撃を受けました。

それぞれのメゾンは個性的なデザインのドレスで店内を飾り、店主であるマダムがお客様と対面でその方の「想い」や「T･P･O」を伺いながら体型に合わせたドレスを提案をし、独自のアトリエで制作するスタイルです。

こんな形でオーダーメイドなら目の前にいる一人のお客様と向き合い喜んでもらうことが出来る。一着づつお作りする事でよりパーソナルなもの作りが出来、自分の経験を生かすことが出来ると確信しました。

パリの滞在中に見たおめでたい時に皆に振舞うという山積みのシュークリームの名前『クロカンブッシュ』を聞いてこれをBrandネームにしようと決心しました。

ウェディングドレスは今までの服とは全く違う物作りでした。素材に合わせたフィット感や、シルエット・仕立て方など、どうしたら着る人をより美しく見せることが出来るか？日々試作品を作ってそれぞれの専門スタッフとディスカッションを重ねました。

最初のお客様は雑誌に載ったクロカンブッシュのドレスを見て興味を持たれご来店頂きました。仮縫いからパターンの修正、本番の生地でお仕立てと、どの工程をとってもドキドキすることばかりでした。

当日は、居ても立っても居られず直接控室に行ったこと、花嫁様の当日の輝きに驚かされたこと、何よりも直接言われた「ありがとうございました！」の感動の一言にすべてが報われ、こんな幸せなお仕事はないと実感しました。